第4章 4日目
結局名前も聞けないまま、なんだか不思議な人だ、という印象だけが強く残った。
また会えないかな、なんてその人の後ろ姿を思い浮かべる。なんだか独りになると、急にさっきの時間が楽しかったことに気付いた。
「、」
「ひ、あっ!」
突然呼び掛けられた声に反応して、つい女の子らしくない声が出た。後ろを振り向くと、さっきお店に戻ったはずのあの人がそこにいた。その姿に少しだけ嬉しくなった。
「また、会える?」
「え」
「私はまた、あなたに会いたいんですが。」
初めて真正面から見たその人の顔にビックリした。
「…に、二宮くん…」
「ぴんぽーん。」
「すみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみま「うるさい。」」
平謝りする私に容赦ない言葉を浴びせる二宮くん。
しょ、初対面なのに…!
私がもごもごしていると、また含み笑いが聞こえた。
で、あなたはどうなんですか、と私に問いかける二宮くんがなんだか強気で、でも笑った顔は可愛くて、頭が真っ白で、正直何も考えられなかったので
「わかりません。」と答えたら
「馬鹿ですか?」て真顔で言われた。
くっ…馬鹿ってなんでわかるんですか。あなたホントに笑顔が可愛い二宮和也くんですか。そんな真顔、テレビで見たことありません。