第23章 23日目
携帯に送られた住久君の会社の番号。電話をかけると、ワンコール鳴ってからすぐに女性の声がした。ありもしない会社の名前と自分の名前を告げ、住久くんの名前を出した。女性は少々お待ちくださいませ、と言い保留の音楽が流れ始める。
「もしもし、御電話代わりました、住久です。」
「あ、住久くん、・・・二宮、です。」
「…お久しぶりです。電話、ありがとうございます。」
「うんん、仕事中にごめん。」
「いえ、とんでもないです。」
「俺に何か用事?」
「・・・二宮さん、お話したいことがあって。
近々お時間とって頂けませんか?」
「…うん、わかった。」
「ありがとうございます。
良かったら携帯電話の方お伝えします。
そっちに連絡もらってもいいですか?」
住久くんは番号を伝え終わると
「…大丈夫、ですか?」と言った。
「え?うん、ちゃんと書いたよ。080-7」
「番号じゃなくて、」
「え?」
「二宮さん、です。」
「…え?」
「聞き返しすぎです」と笑われた。
「…住久くん、俺の心配してんの?」
「はい、心配してますよ。俺も、も。」
「……」
の名前にまだ体が固くなる。
「やめときます、この話はまた今度。」そう言って電話を終えた。
電話を切ってやっぱり思った。
住久くんはいい男だ。
これなら安心して言えそうな気がする。