第22章 22日目
車に乗り込むと運転席のマネージャーがこちらを向く。
「おはようございます。」
「はい、おはよう。」
「二宮さん、大丈夫ですか?」
「なにが?」
「なにがって…。彼女ですよ、一般の方なんですよね?」
「…はい?」
なんであなたが知ってるの。
「まさか、まだわかってないんですか。今の状況。」
「あなたが勿体ぶるからでしょ。」
「言ったじゃないですか、昨日のことですよ!」
「だから昨日って何よ。昨日はあなたと飯食って…」
昨日のこと…?
とのこと?
「……う、そでしょ…」
さっきまでまだお休みモードだった思考回路が一気に目覚める。蒸し暑いはずの朝なのに、背中にものすごい寒気を感じた。
「…嘘じゃ、ありません…今社長自ら出版社に抗議をしてはいますが…、」
そう言って助手席に置いてある鞄の中から、一枚の紙切れを私に見せる。そこには今日発行される予定の写真と記事がプリントされてあった。
見出しには大きく
「二宮和也、一般女性に二股かけられ激怒」
の文字。