第20章 20日目
久しぶりに気合の入れた格好で家から出たのはたった3歩だった。鍵を開けて部屋へ入ると、さっきまで傍にいた二宮くんの匂いでいっぱい。ぎゅーっと胸が締め付けられる。
もう会いたくなっちゃうなんて、馬鹿みたい。
「…っ、」
こんなことで泣くなんて、馬鹿みたい。
やっぱり期待していたワクワクが急になくなると、二宮くんが悪いわけじゃないのに、ガクンと気持ちが落ちてしまう。いつの間にこんな弱い子になったんだろう、そう思って涙を拭いた。
すると玄関の扉が勢いよく開く。目の前にいる人の真剣な顔にドキッとした。
「…に、のみ」
バタン!と扉を閉めると、強く私を抱きしめた。
また二宮くんの匂いを近くに感じると、胸がぎゅーっとなった。
「…っ」
「…やっぱり、泣いてた。」
「ご、ごめんなさい、なんか、急にっごめんなさい、」
止まらないの、二宮くんに会いたいと思ったら、二宮くんが現れた。驚いたら、さっき無理矢理押し込んだ涙が止まらなくて、涙腺が言うこと聞いてくれない。
「…うん、もうわかったから、」
私の頭を優しく撫でてくれる。もう喋らなくていいよ、という合図なのに私はそれを無視して喋りつづけた。
「お、お仕事っ…時間、」
「うん、大丈夫だから、」
「にのみやっ、くん…」
「うん、いっぱい、泣きなさいよ。
泣きやむまで、ずっとこうしてあげるから。」
「…っ…」
そんな優しい二宮くんに甘えて子供のように泣いてしまった。
恥ずかしい。