第20章 20日目
家を出たところで、私のバッグから携帯電話のプルルルルという着信音が鳴った。足を止めてバッグを開けると二宮くんの携帯が鳴っていた。
「あ、二宮くんっ、」携帯をはい、っと渡すと眉をひそめて嫌そうな顔をした。え、私何かしましたか…?
私の手から携帯を取って「はい、」と電話に出る。誰からだろう?私は二宮くんの電話が終わるのを壁にもたれて大人しく待った。
「ああ、うん、うん。…うん、今日じゃなきゃだめ?うん、あーそっか…、はい、はーい。」
私に背を向けて電話していた二宮くんが携帯を弄ったまま私の方へクルッと向いて、上目使いで困ったようにこちらを見る。
なんとなく、
今の電話の内容でわかった気がした。
「…うん、大丈夫だよ!」
「…ごめんね、、」
悲しそうな顔でしょんぼりする二宮くん。
「なんで、二宮くんが謝ることじゃないよ。」
笑って元気づけようとしたけど、上手くはいかなかった。
「……」
二宮くんが唇を噛む。そんな顔されたら私まで離れたくなくなっちゃう。…ダメダメ、ここは私がしっかりしないと。
「お仕事、頑張ってね。」
「…うん、行ってきます。また連絡するから。」
「うん、行ってらっしゃい。」
私たちは玄関でバイバイした。後姿の二宮くんを見送って、姿が見えなくなるとやっぱり急に寂しくなった。こんなに早くお休みが終わっちゃうなんて。