第1章 あなただけ、じゃ足りないの
「兄貴知らないんだろうなあ」
「知られちゃダメでしょ」
「俺がアズサ知ってることすらも知らないだろうし」
「でしょうね」
カナタが上目遣いでこちらを見てきた。
「兄貴の、ハルカのどこがいいわけ?」
「うーん」
「俺より頭いいとこ?俺より優しいとこ?」
「えっとね。顔かな」
「はあ?」
カナタ、そして彼が兄貴と呼ぶハルカ。
彼らは双子だ。一卵性の。
兄のハルカと弟のカナタ。
顔はもちろん身長も体型もよく似ていて見分けかつく人は少ないらしい。
「顔なら俺がいるじゃん」
「そういうことじゃないから」
「兄貴も変な女に引っ掛かったよな」
「カナタがいうこと?」
「まあ俺と兄貴、双子で兄弟だけど
そーゆー兄弟にはなりたくないから、アイツに手ぇ出さないでくれよ」
「なにその下ネタ」
残念ながらその約束は守れないような気がする。