第1章 あなただけ、じゃ足りないの
「昨日アイツと会ってたんだって?」
ベッドの上で寝転がるカナタが私の方を向いた。
そのベッドを背もたれに床に座っている私。
目の前ではバラエティー番組の再放送が流れている。
「日曜日の昼ってあんま面白いのやらないよね」
私の全然関係ない返事に
「だから俺が遊びに来てやったんだろ」
ってカナタが続けた。
「兄貴相当本気だぜ?どうするんだよ」
「どうしよう」
「俺が聞いてるんだけど」
私は立ち上がって背伸びをしてからカナタの横に向かい合って寝転がる。
カナタはそんな私の腰に腕を絡めて顔を胸に埋めた。
「アズサが可愛くてしょうがないんだとさ」
「そうなんだあ」
「そうなんだあ、じゃないだろ。
自分のことだろ」
カナタの髪をふわふわ撫でると、私を抱き締める彼の腕がきゅっときつくなった。