第2章 失いたくない存在
「少佐?」驚いてつい声をかけてしまった。
そこにいたのはムウ・ラ・フラガ。
「艦長か、どうしたの?眠れない?」
「えぇ…ちょっと考え事をしていたら、寝るタイミング逃してしまって…。少佐こそ、どうしたんです?こんな時間に。」
「あぁ、俺もちょっと整備に没頭しすぎてね」
ま、座んなよと、ムウは自分が座る席の隣にマリューを誘導する。
「ありがとうございます…。」
水を入れ、誘われるがまま隣に座る。
「で?何を悩んでたの、艦長さん。」
綺麗な碧眼でじっとこちらを見る姿に、思わず目を反らしてしまう。
「いえ、ちょっと…」
「アラスカでのこと?」
「!!」
なんでわかるの?と言わんばかりにムウを見たマリューに
「わかるさ、艦長のことならなんでも」と、
ニッコリ笑ってみせる。
「今さら悩んだってしょうがないじゃない。
あれは、連合軍の独断だ。君が悪いわけじゃないんだから。」
「わかってます!」
でも…、と視線を落とす。