第21章 *お互い様 feat.緑間
「真太郎、おはよー…」
「香奈、おはよう。まだ眠いか?」
「だって、こんなに早く起きたことないよ…」
今は7時30分。
教室には無論、真太郎以外誰もいなかった。
朝練がなくなったからって、早朝教室デートなんて…。
人事の尽くし方は尋常じゃない。
「とりあえず、ここに座れ」
真太郎が軽く叩いたのは、彼が座ってる隣の机。
「え…そこ、勝手に座っちゃっていいの?」
「誰もいないんだからいいだろう。それとも、デートなのにわざわざ遠くに座る気か?」
真太郎の言ってることは、いつでも一理あるから逆らえない。
渋々、でもないけど隣に座ると、思ったより近くてびっくり。
というか、真太郎がこっちに椅子寄せすぎ。
「最近キスもできていないからな。今日は好きにさせてもらうのだよ」
…近いのは、真太郎が私に触れたいからだって知ってたけど。
久々の雰囲気は、初めてのキスの時と似てる気がした。
もっと甘えたいと思うと同時に、やっぱり恥ずかしいという気持ちも浮き出てくる。
でも結局、拒むなんてできないのには変わりなかった。