第20章 *第2印象 feat.伊月
*
あれから24時間。
俺はまた、例の中央階段にいた。
「遠野さん、ここから俺がやるよ」
「え…ほんとに?」
動揺する遠野さん。やっぱり信じてなかったようだ。
俺は問いに対してしっかり頷いて、ほうきを受け取る。
「ほうきを放棄、キタコレ!」
「……?」
「ご、ごめん忘れて…」
と、ここでいつもの癖発動。
正直恥ずかしさで、すごく辛い。
今までこんなことなかったになぁと、後悔した。
「ふふっ…ダジャレ?」
「えっ!?」
その後悔が、一瞬で喜びに変わる。
遠野さんは笑っていた。
可笑しそうに肩を震わせて、確かに笑みをこぼしていたんだ。
「あ、ごめんね、バカにしてるんじゃなくて、ほんとに面白くて…」
「遠野さん!」
俺の驚いた顔を見て本心を伝えてくれる彼女に、俺は呼びかけた。
呼びかけてから、なんて言おうか少し迷って…目を逸らす。
「笑ってくれて…ありがとう」
気恥ずかしくて止めていた手を動かし、遠野さんに背を向けた。
「伊月くんだからだよ…?」
小さな呟きは耳に入って来たけど、絶対に振り向かなかった。
こんな顔、見せれないから。
だって、まるで恋してるみたいだろ…?
*第2印象*
初めて見た時とは違う、
感情を表に出した彼女が、
すごく魅力的に見えたんだ。