第19章 *強引な王子様 feat.黄瀬
「さーてと、俺の家着いたっスね。」
ゆっくりだったのにあっという間だった道が終わり、もうお別れの時間になった。
明日は休日だし、きっと会えない。
「じゃあ、またね。」
だから、また明日、とは言えなかった。
「え?何言ってんスか、香奈っちも俺の家入るんスよ。」
「で、でも、もう帰らなきゃ…」
「香奈っちの家、反対方向のくせに?こんなつもりじゃなきゃ、香奈っちを送ってたっスよ。」
確かに、涼太は自分より私を優先してくれる。
大抵は私が説得してやめさせるんだけど、今日は何も言わないから油断してた。
「明日、学校休みじゃないスか。だから、今日は帰さない。絶対にっス。」
涼太の「帰さない」は、「もう遅いから」とはまた別の意味も含まれてる気がする。
「それじゃあ…楽しもっか。」
くすり、と魅惑する笑みを見せて、涼太は私の手を引くのだった。
*強引な王子様*
優しくって魅力的で、
時々ちょっと強引だけど、
それでも彼は、私にとっての王子様。