第19章 *強引な王子様 feat.黄瀬
「遅くなっちゃってごめんね。彼女待たせるとか…カッコ悪いっス。」
「そんなことないよ!私が涼太と一緒に帰りたいだけだから。」
くすっと微笑むと、つられたように涼太も笑ってくれる。
どんな表情も魅力的だからズルイな、と私は思った。
すっかり暗くなって、空に星が浮かぶ帰り道。
部活終わりの涼太が帰る時間は、すごく遅いみたい。
「やっぱり、明日からは待たなくていいっスよ。香奈っちに無理させたくないっス。」
「私がしたいだけだってば。」
「だーめ。香奈っちは可愛いんだから、こんな時間まで外いたら危ないんス。」
そう言って人差し指でおでこを突かれる。
でも、きっとお世辞なんだし、平気だと思うけどな。
「あ、信じてないでしょ。香奈っちは美人さんなんスよ?外見も、中身もね。」
「…そう思ってるの、涼太だけだよ。」
「はい、それ以上反論すると口塞いじゃうっスよ。もちろんキスでね。」
う、と真っ赤になって、何も言い返せなくなった。
それは脅しじゃなくて、ほんとにキスしちゃうから。
今までの経験から分かったことを無駄にするほど、私は怖いもの知らずじゃない。