第16章 *お前が素直すぎるから feat.日向
*
それからも、トランプによる白熱勝負は続き、いつの間にかもう午前1時だった。
疲れ切った遠野は床に座って、俺が布団を引いてる間に寝てしまっていた。
そこで寝るなよ、と思いながら、遠野をベッドに寝かせ、俺は電気を消し、今引いたばかりの布団に寝転がる。
するとその音に気付き起きたのか、遠野がか細い声で話しかけてきた。
「日向くん…今日はありがと。」
「礼を言われるほどじゃねーよ。俺も楽しかったしな。」
「ふふ…私も。」
遠野が嬉しそうに笑って、それからまた無言状態が続いた。
寝たのかな、と思い、俺も目を閉じた時。
「今日……日向くんのこと、好きになっちゃったかも。」
なんて呟きが聞こえた。
「は!?す、好き…って…!」
こそこそ声で訊き返すも、遠野はもう寝息を立てていて、さっきのが寝言だったのか否かも分からない。
「…返事くらい聞けよ。」
そう言った俺の声は、不機嫌なようで、嬉しさを含んだ声だった。
*お前が素直すぎるから*
率直なその、
表情に、言葉に、好意に、
ドキドキが止まらなくなってしまう。