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Sweet Love* Part3

第12章 *内緒話 feat.氷室


斜めの席、というのも、近いようで意外と悩みの種だったりする。

そう、例えば、今の私みたいに。

「氷室〜、数学が壊滅的だよ〜!」

「あはは、残念。俺は得意だから低くはないよ。」

「ええっ!裏切り者が…ッ!」

隣の子と仲良く話してるのを見て、辛いと思ったりとか…ね。

一方的な恋だし、私に氷室くんを束縛する力はないけど…。

でも、片想いでも恋は恋だし、ヤキモチだってする。

するだけなら、相手に迷惑をかけないなら、別にいいと思うんだ。

「……はぁ…。」

気づかれないように小さくため息をついて、返ってきた数学のテストを見る。

氷室くんが得意だって聞いたから、敵わないとは思ったけど、頑張ったのに。

結局話せず終いだった。

プリントをファイルにしまって、友達と話しにでも行こうと、立ちあがる。

けど、意外にも向こうから話しかけられ、その人は話そうと思ってた友達ではなかった。

「遠野さんは、数学のテストどうだった?」

イスに横向きに座って、こちらを振り向く氷室くん。

不意打ちと、相手が氷室くんだったという合わせ技で、私の肩が跳ね上がってしまう。

「っ!!…っの、ひ、氷室くんには敵わないけど…いつもよりはよかった…かな。」

「あの」の「あ」が抜けたり、変な間が多かったりしたけど、氷室くんはどうやら気にしてないみたい。

「そうなんだ、よかったね。」

「あ…ありがと…っ」

満面の笑みに顔が熱くなる。

下を向いて俯いた私は、氷室くんが立ち上がった音で顔を上げた。
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