第7章 *ツーショット feat.紫原
秋田県に秋が来た。
…ダジャレじゃなくて、本当です。
陽泉高校の敷地内にある銀杏の木の色が、今は秋だ、と全力で主張してくる。
その銀杏の下のベンチで、あたしと紫原くんはお昼ご飯を食べていた。
「わぁ〜っ!ねぇ紫原くん、すっごい綺麗だよ!秋が来たよ〜っ!」
「香奈ちん、はしゃぎすぎじゃないー?」
「えへへっ」
いつも通り気怠げな紫原くんだけど、あたしといるときはちょっぴり楽しそうで。
彼女としては、そういう小さな違いでも、好きでいてくれてるんだなぁって実感できて嬉しい。
だから余計にはしゃいじゃうんだけど…紫原くんは、そのことに気づいてるのかな?
「はあー…。それにしても、こんなに綺麗なのに秋の間しか見れないなんて…。もったいないなぁ…。」
「…じゃあ、写真でも撮れば?」
「あっ、いいねそれ!ありがと、紫原くん!」
「べ、…別にー。大したことじゃないでしょ…。」
そう言いつつ、少し照れてる紫原くんに、あたしの頬が緩む。
空が隠れるほどの銀杏を何回か撮ったあと、ふとあることを思いつき、内カメラに変更した。