• テキストサイズ

Sweet Love* Part3

第5章 *恋の温もり feat.伊月


それからは、ダジャレもちょこちょこ挟みつつ、バスケの話を聞いていた。

楽しそうに話す伊月くんを見ていると、私まで楽しくなってくる。

難しい言葉は分かりやすい言葉に変えてくれたし、部員の面白い一面とかも聞かせてくれて、本当に楽しそうだなぁと憧れた。

…と、話の途中で、突然冷たい風が吹く。

「くしゅっ!び、びっくりした〜…。」

思わず私もくしゃみをしてしまった。

風邪ひいてないよね…?

何気なく心配になった私だけど、それよりもずっと心配してくれたのが、隣を歩いていた伊月くんだった。

「遠野さん、寒い?俺のコート貸そうか?」

人は自分より他人を心配するものなのかもしれないけど、その言葉の半分以上は、伊月くんの優しさでできていた。

「いっ、いいよ!伊月くんの方が寒くなっ……っくしゅん!」

それに対して、くしゃみのタイミングが最悪な私。

伊月くんが風邪をひくのは避けたいと思って遠慮したのに、台無しだった。

「ほら、やっぱり。無理しないで?遠野さんの家ここからそう遠くないし、それくらいの距離なら平気。」

優しく言いながら、コートを脱ぎ、私に着せる伊月くん。

私も一応フリースを着ていたので、温かさが二倍になったような気がした。

「遠野さんが休んだら……悲しいよ。」

「だから、ね?」と言って微笑む伊月くん。

コートには伊月くんの温もりが残っていたけど、もっと別のところも温かくなった気がした。

ううん、むしろ熱いくらい。

何だろう…熱でもあるのかな。
くらくらしちゃうよ。

「伊月くん。」

「ん?」

「…伊月くんも、風邪引いちゃダメだからね。」

優しく注意するような口調でそう言うと、ぱちくりと瞬きを繰り返した後、伊月くんはあははっと笑う。

「じゃあ、約束だね。」

「…うん。約束。」

そう言って、小指を絡ませ合う私たち。

小指から伝わる小さな体温を感じながら、これが恋なのかな…なんて、ふと思った。

*恋の温もり*

たとえ何気ない行為でも、
恋心というのは、
簡単に温まってしまうんです。
/ 92ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp