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Sweet Love* Part3

第5章 *恋の温もり feat.伊月


久しぶりに一人でお出かけを楽しんで、そろそろ帰ろうと思った頃のことだった。

人混みの中に、ふと見たことのある背中が見えて、思わず駆け寄る。

「伊月くん、伊月くん。」

「え?あっ、遠野さん!」

「こんにちは〜。」

私が呼びかけると、その人が振り返って、伊月くんだということを確認できた。

相手がクラスメイトだとわかると、にこっと嬉しそうな笑みを浮かべる伊月くん。

「伊月くん、今一人?」

「うん、たまには一人もいいかなって。今帰るとこなんだけど、遠野さんは?」

「あ、私も今帰ろうとしたの!ふふ、奇遇だね〜。」

「…じゃあ、一緒に帰る?っていうか、家近くだし、そういうことになるよね。」

なんとなく、その場の流れで。

断る理由もなかったし、普段こんな機会はないから、一緒に帰ることになった。

とはいっても、話すことが特別多いわけでもなかった私たち。

いざこういう状況になってみても、何を話せばいいのか迷ってしまう。

でもやっぱり、趣味の話が一番だよね。

そう思って、

「伊月くんは、バスケ部なんだよね?今どんな感じ?」

バスケについて訊いてみることにした。

伊月くんはバスケが大好きで、一生懸命に部活動をしていると聞いたことがあるから、この話題なら沈黙はまずないと思う。

「あー…。俺、バスケについて話すと止まらなくなるけど、大丈夫?」

「うんっ、全然いいよ!っていうか、ぜひ聞いてみたいな。」

「そっか、ありがとう。」

そう言って笑った顔は、女子に人気のクールな見た目とはまた違う、無邪気な子供のような表情だった。
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