第4章 *曖昧Boundary feat.氷室
ガタンゴトン、という音とともに、車内が少し揺れる。
窓の外に目を向けると、外は真っ白だった。
「雪、綺麗…。」
やっぱり、地下鉄よりも電車のほうがいい。
真っ白に染まった家が、木が、道が、すごく綺麗。
「ね、辰也は冬、好き?」
振り返って尋ねると、辰也はくすっと微笑んで答えてくれた。
「好きだよ。思ったよりも寒くて驚いたけど、こうして見る景色はとても綺麗だからね。」
「あ、それ、私も同じこと考えてた!そっかぁ…嬉しいな。」
私がそう言い終えたと同時に、またガタンゴトンと電車が揺れる。
目的地である東京が、少しずつ近づいていた。
*
12月のある日、wcで誠凛と対戦した日から、数日が経った頃。
土曜日の今日は、監督の用事によって、バスケ部の活動はお休みになっていた。
急用ではなかったので、部員である辰也くんとマネージャーの私は、前々から東京に行こうと計画していた。
wc決勝…誠凛対洛山の試合を見に行こう、と。
「試合前、火神くんに会えるといいね。」
「あれ?俺、そのこと香奈に言ったっけ?」
「言ってないけど…辰也ならそう思ってるだろうな、って。」
たとえ違う高校でも、辰也と火神くんが兄弟のような間柄であることは、今になっても変わらない。
だったらきっと、会うのを楽しみにしてるんだろうな、と思っていた。