第3章 *伝え方 feat.宮地
ここ最近は、雪が降ったのもあって一気に寒くなってきた。
家の中も、ストーブのスイッチを入れたばかりでは、まだまだ寒い。
「宮地君、あったかい飲み物いる?」
キッチンからソファに座る彼に問いかけると、毛布がもぞもぞと動いた。
「んー…コーヒーあるか?」
「あるよー。ちょっと待っててね。」
私の彼氏は、かなりの寒がりらしい。
最初は毛布に包まるのを恥ずかしがってたけど、風邪を引くからと言ったら、渋々そうしてくれた。
お湯が沸いたからコーヒーを入れて、リビングに持っていく。
「はい、熱いと思うから気をつけてね。」
家族によく言う何気ない言葉。
今は家族は留守だけど、ついつい癖で宮地君にも言ってしまった。
「気をつけてね」なんて、子供扱いしてると思われたかもしれない。
「…あ、えっと」
「ん…サンキュ。」
撤回しようとする声と、宮地君の声が重なる。
けど私の方は、宮地君がふにゃっと笑ったせいで言い切れなかった。
普段は見せないレアな笑顔に、思わずキュンとする。
いつも怖いことばかり言うから、こういうのはすごく嬉しかったし、ドキドキした。