第4章 オトメン青峰大輝
CASE.10 〜持ち物.3〜
♪〜♪♪〜〜〜
お昼休みの教室の中で携帯のメッセージ受信音が鳴り響く。
木村は自分のスマホを確認してみるが、どうやら自分ではないらしいと、目の前で机に突っ伏している人物に声を掛けた。
「青峰君の携帯じゃない?鳴ってるの」
「……んぉ?」
青峰は寝ぼけ眼を擦りながらスマホを取り出して確認する。
いや、ちょっと待て。
何だその可愛らしいピンクの姫系カバーは。
「あ、青峰君…。そのスマホ桃井さんの?」
「なワケねーだろ。俺んだよ」
青峰は差も当然と言わんばかりに答える。
「あーうん、ソウダヨネ。何かCASE.10にしてやっと慣れてきたわ。ハハハー」
「お前頭大丈夫か?」
青峰の怪訝そうな目に、木村はお前こそ頭ん中お花畑なんじゃねーの?と突っ込む。(心の中で)
そんなとき、木村は読んでいた本のページを捲ろうとして指を切ってしまった。
「痛ッ!」
「あん?」
「紙で指切っちゃったみたい…」
「ったく、どんくせぇな…。ほら、コレ貼っとけ」
青峰はウサギさん柄の絆創膏を木村に渡す。
そう、ウサギさん柄の……。
「………。」
木村は絶句して何も言えない。
それから何とか我を取り戻した木村は青峰に質問責めをする。
「青峰君、ハンカチ持ってる?」
「当たり前だろ」
「もしかしてティッシュも?」
「当然」
「ちょっと、出して見して!」
木村がそう言うと、青峰はポケットからハンカチとティッシュを取り出した。
ハンカチは女の子らしい花柄のモノで、ティッシュはちゃんとピンク色のケースに入れてある。
「俺、ピンクとか花柄とか好きなんだよな…」
青峰は頬を染めながら恥ずかしそうに言う。
このとき木村は確信した。
青峰は最早オトメンではない、乙女であると。
10.持ち物は全てピンク色や花柄などの可愛いモノで揃えている乙女青峰大輝