第1章 Trick or Treat?
今日は10月31日。
世間はハロウィンということで、街にはさまざまなコスプレをしている若者が街を賑わせていた。
私もそんな若者達の中の1人で、真っ白なワンピース、頭に輪っか、背中に小さな羽を付け、手にステッキを持ち、所謂“天使様”のコスプレをしている。
「よしっ!今から皆の家にお菓子貰いに行くぞ!!オーッ!!」
1人気合いを入れて、私はチームメイトの家へと向かった。
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何故こんなことになったのかというと、部活中の私の何気ない一言から始まった。
「もうすぐハロウィンだし、何かしたーい」
「良いっスね!俺も何かしたいっス!!」
マネージャーである私の発言に涼太とさつきは「私も!」とノリノリで答えてくれた。
「あん?めんどくせー。俺はパス」
「大輝、これもチームの結束を深める為だ。そう言うな」
「何で赤司までそんなノリノリなんだよ……」
大輝は妙に爛々としている征十郎を怪訝そうな目で見ながら諦めたように溜息を吐く。
「では、言い出しっぺの木村さんが皆の家にお菓子を貰いに回るというのはどうでしょう?コレなら青峰君も家で待っていれば良いだけなので、面倒臭くないハズです」
「さすがテツ君♡」
「私は良いけど、皆それで良いの?楽しめるの私だけじゃない?」
「良いんじゃな〜い?」
「では、テツヤの案に決まりだな」
「フンッ。仕方ない、俺も参加してやろう」
「緑間っち、そんなこと言いながら口元緩んでるっスよ?実は1番楽しみにしてるんじゃないっスかー?」
「だ、断じて違うのだよ!!」
真太郎は焦ったように何度もメガネをカチャカチャと上げている。
どんだけ分かりやすいのだよ、このツンデレ。