第2章 彼女にとってのその日
「灯りを消してくるよ。
一緒に寝よう。」
「仕事は?」
「俺もまだまだ人の子らしい。
誕生日に仕事はしたくない。」
「やったね。」
一緒に寝られるのが
素直に嬉しかった。
エルヴィンは灯りを消して、
すぐに私の横に潜り込んできた。
「リナ、
ありがとう。」
「いいえ。
生まれてきてくれてありがとう。」
お互いに感謝の言葉を
投げ合うと
つい笑いがこぼれた。
エルヴィンの優しい唇を
額に感じたと同時に、
私はすぐに眠りに落ちた。
あと23時間数十分。
あと何回おめでとうと
言えるだろうか。
どれだけおめでとうと
言っても足りない。
時間が足りない。
本当は寝てる時間ももったいない。
だから、
今から貴方の夢を見ることにする。
夢の中でも
貴方をお祝いしなければ。
今日という日は、
エルヴィンが
エルヴィンとして
必要とされていることを
全身全霊で感じさせる日。
例え明日それを
捨てることになったとしても。