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過去から未来へ続く道

第1章 エルヴィン・スミスの野望





「ねぇ、草花が好きなの?」



エルヴィンがそう話し掛けると、
ミケは身体を大げさな程ビクリと揺らして驚いたようだった。

一瞬だけミケはエルヴィンと目を合わせたが、
すぐに挙動不審になって目を彷徨わせた。

その上、エルヴィンの問いに答える様子もなく、
長い前髪で隠れた双眼が地面へと落ちる。



気まずい沈黙が暫くの間二人を支配したが、
エルヴィンはめげること無くミケに話し掛けた。


「そういえば、まだ話したこと無かったね。
俺はエルヴィン。エルヴィン・スミスだ。よろしく」

「・・・・・・知ってる。おまえは有名だ」



――有名・・・・。
ミケの言葉にエルヴィンは瞬きを繰り返し反芻する。

良い事で有名なのでは無いのだろうなと思いながら
「それは興味深いな」と笑った。


「君も有名だ。実技のトップだろう?ミケ・ザカリアス」

「・・・それだけじゃない。知ってるんだろう?俺の噂・・・」

「あぁ、知ってる。匂いを嗅ぐのが好きな変わり者らしいな。
おまけに無口だし何考えているかわからない男だって聞いたよ」

「・・・・・・・・そうか」


ミケの目が不安に揺れるのを見て、
エルヴィンは笑いを引っ込め真剣な口調で話し始める。


「でも、だから何だって言うんだ?
変人だから話し掛けちゃいけないのか?
匂いを嗅ぐのが好きなのも別に悪い事じゃないだろ?
大事な個性じゃないか。言いたい奴には言わせておけば良い。
そうする事で自分の価値を高め優越感に浸るしか出来無い
愚かな奴らの言葉に心を痛める必要なんか無いんだ」





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