第4章 エルヴィン・スミスは未来へ突き進む
それどころか
「彼女ならこの苦境をどう乗り切ろうとするだろうか」とか
「彼女ならもっと良い案を考えそうだ」と思え、
俺のやる気を上げてくれる。
(それをミケに話したら、微妙な顔をされたけれども)
思い出を美化し過ぎだとは自分でも思っている。
だが、俺にとって彼女との出会いは
それだけ衝撃的だったのだから仕方ない。
そういえば彼女は俺に
「無駄な争いは避け、何手先も読んで最終的に勝てば良い。
それまではずっと負け戦だろうが仕方ないと思うしかない」
と語った。
調査兵団は巨人に対し常に負け戦だ。
最終的に勝てば良いとは言われたが、
果たしてそんな日がくるのだろうか?と、
最近根を詰めすぎた俺は些か弱気になってしまっている。
いやいや、そんな弱気になっていてはいけないと頭を振っていると、
誰かが自分の背中にぶつかった衝撃を感じ振り返った。
そこには何かの書類をばら撒き、
尻もちをついた女性兵士が・・・・女性?
・・・兎も角、調査兵団の兵士がいた。
無造作に束ねられた髪にメガネをしたその兵士は
「ごめんね~前が見えなくて」と頭を掻きながら、
俺に笑顔向ける。
若さから見て新兵だろう。
俺の方が上司にも関わらず、態度はかなりフランクだ。
メガネの兵士が書類を拾い集め始めたので、
俺もそれを手伝っていると、やっと俺の顔を見たらしいその新兵が
「あぁ!」と声を上げながら指を差す。