第4章 エルヴィン・スミスは未来へ突き進む
調査兵団に入って数年経った俺は、
今班長として部下も持つようになった。
入ってみてわかったが、
腐っているのは憲兵団だけではなく、調査兵団もだった。
上層部や貴族、商会の顔色を窺い壁外調査で必要な資金を
自らが努力して得なければ、何も出来ないお荷物兵団だった。
団長は志だけは高いが、やっている事は効率が悪く、
無駄に兵を死なせているだけだと思う。
俺がもう少し出世したら、もっと画期的な作戦を立案するのだが・・・
今はまだそれを出来ない立場にある。
若い俺が口を出せばあっという間に潰されてしまうのは
目に見えていたからだ。
本当に厄介である。
最近敵は壁外ではなく、壁内にもあるのだと痛感している。
何もかもが上手く行かず俺はイライラしていたが、
いつものように『運命の人』を思い浮かべて、
俺は冷静さを取り戻した。
彼女を思い出せば荒れた心が幾分か鎮まる。
あれからどれだけの月日が流れただろうか・・・?
色褪せてもおかしくない年月が経ったというのに、
俺の記憶からはそれが色褪せる事が無かった。