第3章 ミケ・ザカリアスから見たエルヴィン・スミスの恋愛
「じゃあ、ナイルはどんな女が好きなんだ?」
「あー・・・俺?俺は、気立てが良くて優しくて料理が上手で、
男をちゃんと立ててくれる可愛い子が良いな」
エルヴィンの質問にナイルがうっとりと頬を染めながら答えたが、
俺とエルヴィンはキッパリと言ってやった。
「そんな女、存在する訳ないだろ」
「そんな完璧な女は存在しない」
「うっせーな!理想を語って何が悪いっ!」
むくれるナイルが思いの外面白かったが、
俺は話を軌道修正する事にする。
ぶっちゃけ、ナイルの好みなどどうでも良い。
「で?エルヴィンの好みのタイプは何なんだ?」
俺がそう聞くと、エルヴィンは目を丸くして驚いているようだった。
まさか俺がそんな事聞くとは思わなかったのだろう。
・・・自分でも、そう思ってる。
だが、時々人間性を捨てているこいつに好きな女のタイプが
あるのかどうか確かめたかった。
それはきっと、エルヴィンに隠されている人間らしさでも
あるはずだから。
「・・・・そうだなぁ・・・・・」
エルヴィンは虚空を見つめて何かを思い出しているようだったが、
少しすると頬を赤く染めてその問いに答え始める。
「銀髪碧眼で、人形のように小柄な・・・
とても強い女性・・・かな」
具体的なエルヴィンのタイプに俺もナイルも目を見開いて驚いた。
珍しく歳相応に恥じらうエルヴィンが本当の姿を晒したようで
俺達は言葉が出なかった。