第2章 ナイル・ドークから見た二人
朝が来ても俺の寒気は収まらず、
訓練に出ても失敗ばかりで・・・俺はとうとう倒れた。
気づいたら医務室のベッドの上で、
全てが夢だったんじゃないかと思った矢先に
悪魔が俺の顔を覗き込んできた。
「やぁ、ナイル。気分はどうだい?」
「ぎぃやああああああああああああああああああああああ!!!」
俺はみっともなく泣き叫んでいた。
ベッドから飛び出して部屋の隅で蹲ると、
エルヴィンは「参ったな・・・」と眉をハの字にさせて
頭を掻いていた。
「ごめん、そんなに恐がられるとは思ってなくて・・・。
昨日は少しふざけ過ぎたようだ。本当にごめん」
しおらしく頭を下げてくるエルヴィンが
昨日と同一人物とは思えず、俺はポカンと口を開けた。
苦笑いを浮かべたエルヴィンの表情は、
俺と同い年のただのガキだった。
昨日見た悪魔とは違う。
「そんな悪魔を見るような目で見ないでくれよ、ナイル」
「うっせー!おまえが脅したんだろうが!」
軽口を叩いてみると、エルヴィンは困った顔をして
「悪かったと思っているって」と言った。
危害を加える素振りも見せないエルヴィンに俺が内心安堵していると、
突然スンスンと横から匂いを嗅がれ飛び起きる。