• テキストサイズ

過去から未来へ続く道

第2章 ナイル・ドークから見た二人





「な、何だよ。言っとくが、俺はおまえらの教科書なんか
盗ってねぇぞ!」

「うん、知ってるよ。ナイル・ドーク。
君の協力のお陰で犯人を炙り出すことが出来たから
お礼を言いたくて」

「は?協力?お礼?」


何の事かさっぱりわからなかった俺が首を傾げていると、
エルヴィンはニッコリ笑って教科書を差し出した。

裏には『エルヴィン・スミス』って記名がしてあるそれを
凝視していると、俺はある事に気づく。


「あぁぁぁぁ!こ、これ、俺の教科書じゃねぇかっ!」


そう・・・『エルヴィン・スミス』って記名があるその教科書には
俺が書いた落書きとか書き込みがあって、
それでやっと失くしたと思っていた俺の教科書だってわかったんだ。


愕然としている俺を尻目に、エルヴィンは笑いながら言った。


「君が『教科書が無いなら一緒に見よう。
必要なら写すのに貸してやるから』って言ってくれたから、
早々に拝借させてもらったよ。とても助かった。
ありがとう」

「お、おまえ!人の教科書に勝手に名前書くんじゃねぇよ!
つーか、せめて一言言ってから持っていけ」

「君が犯人じゃないとは限らないだろ?」

「俺はそんな姑息な真似なんかしねぇよっ!一緒にすんな!」


乱暴に教科書を奪うと、俺はさっさと背を向けて歩き出した。


胸糞悪くて仕方ない。
あいつが何でモテるのか全く理解できない。
確かに顔は良いかもしれないけど、性格は最悪じゃねぇか!


歩き出すと、背後から呼び止められて振り返ったら、
エルヴィンは威嚇するような眼差しを俺に向けていた。



/ 34ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp