第2章 ナイル・ドークから見た二人
授業中、教科書が無いエルヴィンとミケを訝しげに思った教官が、
皆の前で聞いたんだ。
そうしたら、あいつは
「どうやら盗難にあったらしく見つかりません」と
正直に答えた。
盗難、という言葉に教室内の奴らがざわざわと騒ぎ始めた。
収拾がつかなくなりそうだと判断した教官は
仕方なく持ち物検査をする事にしたんだが・・・・・
もう破り捨てられてんだから見つかりっこねぇよと思いながら、
俺も持ち物を提出した。
そういえば、俺も教科書が見当たらないんだよなーと思っていると
エルヴィン達の教科書を破り捨てた奴らの一人の荷物から
『エルヴィン・スミス』という記名のある教科書が
出てきやがったっ!
動揺したそいつは、
つい「そんな馬鹿な!おまえらの教科書は破り捨てたはずだ!」
な~んて口走ったもんだから、教官と訓練兵全員から
白い目で見られ・・・一味は兵団にいることに耐え切れず
辞めていってしまった。
俺も驚愕したもんだ。
何で破り捨てられちまった教科書が存在していて、
犯人の荷物の中に紛れていたのか・・・。
犯人を吊るし上げることに夢中な奴らを横目に
チラリとエルヴィンを見遣ると、
あいつは瞳孔の開いた目をしながら
薄ら笑いを浮かべていやがった。
正直ゾッとしたね。
絶対こいつらとはお近づきになりたくねぇって避けてたのに、
翌日俺は二人に捕まった。