第2章 ナイル・ドークから見た二人
だけど、俺はあいつの中にある狂気を垣間見てしまったんだ。
エルヴィン達に嫌がらせをした奴らを、
あいつは恐ろしい目をしながらハメやがった。
元々モテまくるエルヴィンと、
よく見れば格好良い部類に入るミケが
揃って歩いてたら女共の視線は釘付けになって
他の男なんてものは視界にすら入らねぇ。
嫉妬した馬鹿共は、エルヴィン達の教科書を破り捨てたらしい。
・・・らしいというのは、俺はそれに加担してなかったし、
加害者と思われる奴らが「ざまぁみろ」と笑っている所を
目撃しただけだったからだ。
正直、姑息なやり方に腹が立ったが面倒事には
首を突っ込みたくなんかねぇ。
俺は一回聞かなかった振りをしたんだ。
でも、教科書が無いと探すあいつらを見て、
俺はつい手を貸そうとしちまった。
教科書くらい一緒に見ようぜって誘ってみたんだ。
それなのにエルヴィンは
「暗記してるから一緒に見なくても大丈夫」と言って、
ミケと行っちまいやがった。
流石の俺もこの時は「何てムカつく奴なんだ!」と
嫌がらせした奴らに賛同してしまったが、
その後エルヴィンを敵に回さないでおいて良かったなと
心底思った。