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詰襟応援団!! 【ダイヤのA】

第23章 西東京大会決勝


「来ていらしたんですね!! ありがとうございます」

私がお辞儀をすると、御幸のお父さんは「そ、そんなお辞儀だなんて……!」と焦った声を出す。

「一也、想像以上に目立っていたよ」

御幸のお父さんは少し照れくさそうに話す。そんな御幸のお父さんが面白くて、私まで笑顔になってしまう。

「御幸が軸と言っても過言ではないですから! この試合、最後まで応援よろしくお願いします!」
「勿論だよ」

御幸のお父さんと別れてから、またもや知っている顔が。


「松浦先輩ですか?!」



最後に会ったのはいつだろうか。無表情な黒髪の青年……私に応援団長を譲った張本人。

「……久しぶり、木下」

相変わらずの無表情。そういえば、風の噂で有名大学に受かったと聞いたような……。

「わざわざ球場まで足を運んでいただき、ありがとうございます!」
「すまなかった」

私の言葉に対する返事としては、明らかにおかしい。あまりのすれ違いに、私はことばを失う。
対する松浦先輩は本当に申し訳なさそうに唇をぎゅっと噛みしめている。

「え、どうして……」
「俺はお前に何も指導してやらなかった。自らのことしか考えず、部のことなんて考えていなかった。廃部になったらなったで良いと思っていた。でも、お前は1人で頑張り……こんなに良い応援団に仕上げた」

松浦先輩の視線の先では、太郎とリューマが女子応援団部と吹奏楽部と野球部のみんなと応援の打ち合わせをしている。

「横の連携がとれるようになり、何より、男子応援団部の応援は前よりも気持ちがこもったものになったんだ」
「……先輩……」
「俺は今、大学でも応援団をやっている。今まで顔を出さなくてすまなかった。今度、顔を出すよ。今更遅いとは思うが、少しは先輩らしいことをしたい」
「……ありがとうございます!!」


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試合は再開し、6回表を終えた。青道は得点ならず。それよりも私には気になることがあった。

(亮介先輩の様子がおかしい……?)

内野ゴロでファーストまで走る時に転んだのだけど、少し不自然な転び方な気がした。

(まさか、怪我なんて……)

6回の裏、1アウトランナー1、2塁の場面で亮介先輩の正面にライナーが飛ぶが、しっかりと処理して2アウト。



(亮介先輩……!)
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