第17章 -青色の彼のおむかえ-
「白か♪」
「大ちゃん‼︎」
夜道なのにしっかり大ちゃんに
パンツの色までバレてしまった。
「大ちゃんのバカー!ヘンターイ!」
「なんでだよ?不可抗力だろーが!」
「そこは頑張って目を瞑るとかーー!」
「はぁ?そんなんムリに決まってんだろーが!」
「大ちゃんの動体視力ならできるよー!」
大ちゃんとギャアギャア言いながら、
歩き続けていると、
さっきよりも自然に話せていた。
わたしは拗ねて大ちゃんの腕を
ポカポカ叩いた。
あの気まずい空気を起こさないために。
大ちゃんと”いつも通り”に話せるように。
「そういえば、大ちゃん、
なんでわたしのコト探してたの?」
今、そう思ったばかりなのに、
少しだけ期待してしまう。
わたしに会いに来てくれたんじゃないか…って。
わたし…ズルい。
「さつきのヤツが半泣きで来たんだよ。
すみれが誘拐されたかも〜って。」
「…っ⁉︎」
お姉ちゃん……
「さつきに連絡しとけよ〜?
あいつ、すんげぇ心配してたからな。」
「…うん。」
わたしは大ちゃんに言われるまま、
その場でお姉ちゃんに電話をした。
お姉ちゃんはすぐ電話に出てくれ、
ほんとに半泣きで、
わたしが連絡したら、すごく安心していた。
ほんとにほんとにわたしのことを
想ってくれていて…優しいお姉ちゃん。
「な?泣いてたろ?
あいつ、昔からオーバーだよなぁ。」
大ちゃんはめんどくさそうに言ったけど、
ほんとはそんなふうに思っていないのは、
大ちゃんの表情ですぐにわかった。
チクチクチクチク…
ズルイわたしの胸が勝手に痛む。
大ちゃんだって、
あの時はいろんな気持ちが混ざって
きっと精神状態がおかしかったんだ…
そうじゃなきゃあんなコト…
1人で勝手に困惑して、
大ちゃんを避けていたのは自分なのに、
大ちゃんと話せないのは、辛すぎて…
ただ、いつも通り…
今までみたいに大ちゃんと話せればそれでいい。
”自信持てよ”って
さっきの火神さんのことばが
聞こえた気がしたけど、
そのことばも頭から搔き消した。
自信なんかないよ。
ズルいわたしは、
自分の気持ちをはぐらかし続けた。
大ちゃんの気持ちをちっとも考えずに…。