第12章 -インターバル事件簿-
「な、なんだよ、てめぇっ‼︎」
「あぁ⁈なんか文句あんのかよ⁈」
に…虹村先輩…怖いっ‼︎
顔は見えないけど、
今ぜーったい怖い顔してる…。
「ちっ…」
2人組の男たちは、
舌打ちをして去って行った。
「はぁ…。大丈夫だったか?」
虹村先輩はわたしを抱き締めたまま、
男に掴まれていた腕を触った。
…ドキッ
わたしは慌てて虹村先輩から離れた。
「だ…大丈夫です‼︎
あの‼︎ありがとうございましたっ‼︎」
「…ったく。
変な奴にナンパされてんじゃねーよ。
たまたまオレが通ったから
よかったけど…」
あれ…ナンパだったのかな?
「大ちゃんと会えたあと、
虹村先輩たちといた場所が
わからなくなっちゃって…。
それで、虹村先輩を探してたら、
ちゃんと前見てなくて…」
「(ドキッ…)ったく…
じゃあ、連絡すりゃいいだろうが。」
虹村先輩に、
ピンッとデコピンをされた。
「いたっ…」
思わず、”いたっ”と言ってしまうが、
本当は全然痛くない。
虹村先輩はわたしにデコピンをする時
いつも加減をしてくれていた。
「だ…だって‼︎
虹村先輩の番号、知らないですもん‼︎」
「あ…‼︎わりぃ。そうだったな。」
「もうっ‼︎」
「んじゃ、交換しとくか。」
その場で2人でスマホを取り出し、
お互いの番号を登録した。
「虹村先輩はどうしてココに?」
「あ?便所だよ、便所。
で、戻ろうとしたら、
おまえがナンパされてたっつぅわけ。」
「だ…だから、ナンパじゃなくて…」
「は⁈どう見てもナンパだろうが‼︎」
ナンパっていうのは、
”お姉さん、ヒマ〜?”
”オレらと遊ぼうよ〜”みたいなやつで、
あれは違うと思うんだけど…。
「はぁぁ。ほら、行くぞ‼︎」
ギュ。
「え⁈あの⁈虹村先輩っ⁈」
虹村先輩に手を繋がれて、
思わず顔が熱くなってしまう。
「(ドキッ…)
おまえがナンパされてたの、
半分は連絡先教えてなかった
オレの責任だかんな。
もう変な奴に
声掛けられてんじゃねーぞ‼︎」
「虹村先輩のせいじゃないですってば‼︎」
それに、だから‼︎ナンパじゃないって…。
でも、結局虹村先輩に手を繋がれたまま、
ようやく最初にいた席に戻れた。