第2章 -熟睡できる部屋-
お姉ちゃんは中学に入ってから、
大ちゃんのことを”青峰くん”と呼んでいた。
お姉ちゃん曰く、”大ちゃん”と呼ぶと、
大ちゃんとの関係を
周りに色々言われるらしい。
でも、それって、周りから見ても
それくらいお似合いってこと…だよね。
お姉ちゃんは、
妹のわたしが言うのもなんだけど、
とっても可愛いし、とっても優しい。
料理音痴はご愛嬌…。
大ちゃんもあんなんだけど、
黙っていればイケメンだし、
本当はとっても優しい。
わたしから見ても2人はお似合いだ。
わたしは自分の髪を触った。
髪が長かった頃はお姉ちゃんと似てる…
とも言われたけど、
わたしはそれがイヤで、
中学に入る時に髪を切った。
お姉ちゃんは大好きだけど…。
ギャアギャア言い合う2人を見ながら、
そんなことを考えていた。
あ…塾の時間…!
今日は制服のまま行くかぁ…。
「わたし、行くね。」
2人に声を掛けると2人同時に振り向いた。
「あ?こんな時間にどこ行くんだよ?」
「塾だよ。これでも、受験生なんです。
大ちゃんみたいに推薦なんかもらえないし。
地道に頑張るのー。
大ちゃんのせいでこのまま行かなきゃ。」
「塾終わったらちゃんと連絡してね?
気をつけて行くんだよ?」
「はぁい。」
わたしは自分の部屋に2人を残し、
塾へ向かった。
その日の夜は、
やっぱりベッドの中が大ちゃんの匂いがした。