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〜蒼い青い片想い〜

第11章 -遅れてきた青色の彼-


体育館の外に出ると、
先ほどまでいたたくさんの人たちは、
体育館の中に吸い込まれたようで、
今はまばらに人がいるだけだった。


その人たちも、
試合開始に間に合うように…と、
足早に体育館に向かっている。


でも、わたしはそんな人たちから、
1人逆流して、駅前まで向かった。


大ちゃん…来るよね…⁇


”…淋しい?”


誠凛と試合をするコトになった時、
大ちゃんの部屋で聞いた。


あの時、大ちゃんは
何も言わなかったけど…


黒子先輩とのコトもあるけど…


でも、最近の光のない大ちゃんの
瞳の中に、少しだけ…
少しだけ、光を見た気がした。



”アイツじゃテツの力は引き出せねぇ”




そうは言っていたけど、
大ちゃんは、火神さんに何か…
まだ少しだけ…期待してるんだと思う。


だから、きっと…‼︎


「…‼︎大ちゃんっ‼︎」


駅から出てくる人混みに紛れていても、
大ちゃんはすぐわかる。


わたしは改札から出てくる人を
掻き分け、大ちゃんに駆け寄った。


ドンッ…


「…っ⁈きゃっ…」


「危ねっ…‼︎」


人混みを逆流していたわたしは、
当然といえば当然だけど、
いろんな人とぶつかってしまい、
よろけてしまった。


でも、よろけてしまった瞬間、
大ちゃんに腕を掴まれ、
転ばなくてすんだ。


「大ちゃん…‼︎あ、ごめんね。」


「…アホか⁈
向こうで待ってりゃいいだろ?」


「だって…」


「おまえがいたのわかってんだから、
無視しねーよ。」


ドキッ…


気付いてくれてたんだ…


それだけで嬉しかった。


「…ったく。転ぶなよ?」


大ちゃんはそう言うと、
そっぽ向いてわたしの手を引きながら、
駅を抜け、体育館の方へ歩き出した。


でも、その瞳は、やっぱり
いつもより輝いているように感じた。


「…さつきに言われたのか?」


「え…?あ…うん。
お姉ちゃん、心配してたよ?」


本当はお姉ちゃんに
迎えにきてほしかったのかな…。


「どうした?」


突然、大ちゃんが
わたしの顔を覗き込んできた。


「う…ううん‼︎なんでもない!
第2Q、間に合うかな?」


「あ⁈第3Qからで十分だろ。」


「…大ちゃんのプレイ、
たくさん見たいのに…」


「あん?」


「え…⁈」


あ…わたし…⁈

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