第9章 -熟睡できない部屋-
微灯でオレンジの薄暗い光の中で、
大ちゃんはやっぱりニヤリと笑っていた。
「だ…だから‼︎夜這いじゃないってば‼︎」
「オレの上に落ちてきて?
こんなに抱きついてるのにか?」
…っ‼︎
大ちゃんのことばに、
わたしは慌てて身体を起こした。
「だ…抱きついてないもん‼︎」
「ふぅん…水色…かぁ♪」
…っ‼︎
大ちゃんは起き上がったわたしの
Tシャツの胸元をグイッと引っ張り、
わたしの胸を見た。
大ちゃんの部屋に行くから、
なんとなくナイトブラでは不安で、
普通のブラをしていた。
「きゃぁぁぁぁぁっ‼︎大ちゃんのバカ‼︎
ヘンタイ‼︎ガングロッ‼︎」
結局普通のブラでも…意味がなかった。
わたしは胸元を隠すため、
また大ちゃんに抱きついてしまった。
「おわっ⁈いてぇって‼︎
そんなに抱きつきたいのか?」
「あっ‼︎ち…ちがっ…」
やってしまった‼︎
そう思って大ちゃんから
離れようとしたのに、
大ちゃんはわたしを抱き締めたまま
クルリと横になると、
わたしごとタオルケットに入り、
その中でまた
ギューッとわたしを抱き締めた。
「だ…大ちゃんっ⁈やだ‼︎
は…はなしてってば‼︎」
わたしはTシャツにショートパンツ…
大ちゃんはタンクトップにハーフパンツ…お互いの素肌が触れ合っている…。
大ちゃんの身体は
無駄な肉がまったくない
鍛え上げられた男の人の身体だった。
練習サボってるはずなのに、
どこで身体鍛えてるんだろう…
思わずそんなことを考えてしまうけど…
こんな状況で意識しないわけがない。
「やっぱりすみれ、成長したなー。」
「だ…だから‼︎大ちゃん‼︎
はなしてってば…‼︎」
それなのに大ちゃんは、
はなすどころか、
どんどん力強く抱き締めてきた。
「なぁ?何カップになった?」
「な…っ⁉︎大ちゃんのバカ‼︎
い…言うわけないでしょ⁉︎
わたしは胸…そんなに…」
そんなに巨乳好きなら、
お姉ちゃんを抱き締めればいい…。
またそんな薄暗い…捻くれた
意地悪な気持ちがムクムクと、
わたしの心を侵食する。