第6章 -緑色の先輩-
「帝光中の桃井すみれです。
姉が緑間先輩と同じ学年で…
わたしも仲良くさせてもらってて…」
さっき笠松さんに言ったのと、
まったく同じコトを言った。
「へぇ♪オレは高尾和成。
真ちゃんのお友だちー♪」
「友だちじゃないのだよ。」
高尾さんも自己紹介してくれた。
そういえば、火神さんは
自己紹介してくれなかったな。
まぁ、名前知ってたけどね。
「高尾さんも…バスケ部なんですか?」
「あぁ。PGだよー。
で、すみれちゃんだっけ?」
「…?はい。」
「真ちゃんと付き合ってないなら、
オレと付き合わない?」
「へ…⁇」
高尾さんのことばの意味が、
一瞬で理解するコトができない。
「あの…それは、コンビニとか、
ちょっとそこまで…
”付き合う”とかではなく、
あの…いわゆる男女の…?」
「お付き合い♡」
わたしの疑問の最後の言葉尻を
高尾さんが引き継いだ。
♡マーク付きで…。
「高尾‼︎何をふざけているのだよ⁈」
「え〜?ふざけてねーよ♪
すみれちゃん、可愛いもん♪」
な…なんだろう?
きーちゃんとは違う種類の
チャラい人な気がしてきた…。
「ありがとうございます。
でも、そういう”お付き合い”でしたら、
丁重にお断りします。」
「ちぇ〜っ。残念だなぁ。」
「高尾‼︎いい加減にするのだよ‼︎」
「真ちゃ〜ん‼︎冗談だって〜。
なーに本気で怒っちゃってんの⁈」
「怒ってないのだよ!
高尾‼︎そろそろ行くぞ‼︎」
「はいはい。
じゃーな!すみれちゃん♪」
高尾さんがチャリヤカーの
”チャリ”の部分に乗ると、
緑間先輩は”リヤカー”の部分に乗った。
人が乗るとさらにシュールだなぁ…。
「すみれ…」
「なんですか?」
「海常を受けるのか?」
緑間先輩がチャリヤカーの中から
急に真面目な顔で聞いてきた。
「いえ、まだ決めたわけでは…」
「なら…桐皇か?」
…‼︎
緑間先輩のことばにハッとしてしまい、
自分の口からことばが出ない。
「まだ決めていないのなら…」
わたしのことばを待たずに、
緑間先輩が続けた。
「秀徳も一度見に来るといい。」
「え…?」
「会わせたい人もいるのだよ。」