第5章 -影の先輩と新しい光の彼-
「黒子先輩!お久しぶりです!
って、怪我は大丈夫ですか⁈」
「見た目ほど痛くはないんです。
一応病院に行くコトになって。」
思わず詰め寄るように話してしまったけど…黒子先輩…イヤだったかな…
黒子先輩に会いたかったのは事実。
黒子先輩が心配だったし、
黒子先輩と話したかった。
でも…黒子先輩はわたしと話したら、きっと大ちゃんのコトや…あの時のコトを思い出しちゃうかも…。
「そうなんですね。あ…じゃあ、わたしは…」
「やっぱり黄瀬くんの隣で見ていたの、
すみれさんだったんですね。」
「え?」
会釈をして去ろうと思ったら、
黒子先輩が思わぬコトを言ったので、
わたしはつい立ち止まってしまった。
「帝光の制服は目立ちますし。
すぐわかりました。」
「今日…学校説明会だったんです。
それで偶然きーちゃんに会って…
そしたら、なぜかあそこで…」
「なんとなく想像つきます。」
さすが黒子先輩。
ほとんど話していないのに、
わたしの言いたいコトをわかってくれた。
「おい!黒子‼︎
お…おまえ…彼女いたのか⁈」
「えっ⁈」
突然喋りだした黒子先輩の新しい光…
火神さんのことばに、
わたしは開いた口が塞がらない。
「火神くん…。
自分が知らない女のコと
ボクが話しているからって、
”彼女”だと思い込む短絡的思考は
やめてください。」
「は⁈別に普通にかわいいコなんだから、いいじゃねーかよ⁈なんで隠すんだよ⁈」
「えっ⁈」
火神さんのことばに
わたしは真っ赤になってしまった。
「火神くん…
なんかセクハラ発言ぽいです。」
「なっ⁈」
「彼女は中学の後輩の桃井すみれさん。
彼女のお姉さんがボクの同級生なので、
ボクも黄瀬くんも知り合いなんです。」
黒子先輩に紹介され、
わたしは火神さんに会釈をすると、
火神さんも戸惑いながらも、
会釈してくれた。
「桃井さんは元気ですか?」
「はい。相変わらずですよ。」
黒子先輩に会ったコト
お姉ちゃんに言ったら、
ビックリするだろうなぁ。
「青峰くんも元気ですか?」
「…っ⁈」
わたしは思わず固まってしまい、
すぐに返事をするコトができなかった。