第4章 -黄色の先輩-
誕生日が終わったあとの土曜日、
塾の友達の三好ゆりに誘われ、
わたしは海常高校の学校説明会に来ていた。
ゆりとは中学は違うけど、
中1の頃から塾が同じで、
気が合う友達だった。
ゆりは海常高校が第一志望だと
中1の頃から言っていた。
「ゆりはエライよね。
中1の頃からちゃんと
高校のこと考えてるなんて。」
「そうかなぁ?
すみれはどうするの?決めた?」
「う〜ん…まぁ…ちょっと迷ってる…」
高校…迷っているのは本当だけど、
1つだけ決めていることはあった。
桐皇には行かない。
「すみれなら、選び放題なのに〜。
じゃ、わたし個別相談会行ってくるね。」
そう言うとゆりは
相談会の教室に向かって行った。
わたしはどうしようかな…と思うけど、
ふとあることを思い出す。
この学校はあの人がいる。
久しぶりに会いに行ってみようかな。
わたしは体育館を探したけど、
さすがに校舎が広くて
なかなか見つけられなかった。
でも、運動部っぽい人を見つけたので、
こっそりその人についてったら、ビンゴ♪
バスケ部の人だったみたいで、
無事バスケ部の体育館に辿りついた…のに、
突然その人に話しかけられてしまった。
「お…おめーさっきから
なんでついて来てんだよ⁈」
「え…⁈あ…。」
に…睨まれてる…⁈
なんかメチャクチャ表情固いし、
こ…怖いっ。
「あの…知り合いを…探してて…」
「は⁈おめー、中坊だろ?」
今日、貴方の学校の学校説明会
やってるんだってば。
中学生いるに決まってるでしょ…。
とは、言えず、
「えと…はい。あのバスケ部で…きー…」
「あっれー⁈チビ桃っち〜!?
なになに⁈
オレに会いに来ちゃったんスか〜⁈」
探してる人の名前を言おうとすると、
聞き覚えのある声…
わたしのお目当ての人…が、
突然走ってきて、抱きついてきた。
「きゃあっ!きーちゃんっ!
はなしてってば!」
「あはは。ごめんごめん。
嬉しくてついさぁ♪」
お姉ちゃんといい、きーちゃんといい、
どうしてわたしの周りは、
こう抱きつく人ばかりなのかな…。
あ!大ちゃんもか。