第4章 【上】-キャリア-
「事務所開いたそーだからさ。 一応挨拶にと思って。あ、祝い品。」
きょろきょろと辺りを見回しながら、刑事さんは祝い品であろう物が入る袋を差し出してきた。
「…?なんだろ?」
弥子ちゃんが袋を開ける。
…なんとなく、その刑事さんがこちらを何度も見てくる気がする。
死角だから見えるはずないんだけどな…
「わぁ!たこわさだ!」
そんなことを考えていると、弥子ちゃんの祝い品に喜ぶ声が聞こえた。
あ、たこわさか。 …名前しか知らないけどね。
「俺がいつも買ってるデパ地下の。 多分イケルと思う」
そう紡ぐ刑事さんは気怠げに頭を掻いて、もう一度部屋を見回した。
「ありがと~笹塚さん!ご飯何杯でもいけちゃう!」
「まあね。 俺はいつも酒の摘みにしてるんだけど。」
へえ、酒か…
「うんうん、ビールともポン酒とも相性抜群なんですよね~~…」
あれっ、地上って未成年者は飲酒禁止じゃ…
「え…飲んでんの?もしかして」
あ、やっぱそうなんだ。
そう言いながら刑事さんは懐から手錠を出した。
それを見た弥子ちゃんが必死に弁解して、なんとか刑事さんは懐にもう一度手錠を仕舞った。
「ところで笹塚刑事、ご用件は本当にそれだけでしょうか?」
それまでの事をなくすかのようにネウロが口を挟んだ。
いつの間にか近くによって来ていたネウロが、私を背にしながら刑事さんに話を振った。
なんか潰される勢いで押されてるんだけど。
(くるしっ…)
「…?それだけ…?」
「なにか他に…聞きたいことがありそうな顔をしていたもので。」
そうネウロは言いつつ私のお腹を擽ってきた。ちょ、だめだ、それはだめだ
(くっ…ふふ…くぅ…っ)
ここで笑ったら色々と迷惑かける…!
「んー…まああるっちゃあったんだけど、まぁいいや今日は。」
この事務所色々と---―
と言葉を紡ぐ刑事さんの話を聞きながら私の腹を擽り続けるネウロ。
「---と、まぁそんなわけだから。一応挨拶だけ。ちゃんと学校行きなよ、弥子ちゃんも。」
そう言ってから、刑事さんは開けっ放しだったドアから出ていった。
---―と思ったら。
「あとそこの助手さんの後ろに隠れてる君は…」
挨拶しときたいんだけど。とドアへ向いていた足をこちらに向ける。