第3章 再出発
その後のパフェは食べた気にならなかった(美味しかったけど)
喫茶店から出ると、もうだいぶ暗くなってる。
「じゃあ、今日はご馳走様でした」
「あぁ」
ぺこりと頭を下げる。
じゃあまた明日ね、と声をかけて帰ろうとすると止められた。
「お前、一人で帰るつもりか?」
「え?そうだけど?」
「もう遅い、危ない」
暗くなってきているからか、二人に一人で帰る事を止められた。
「大丈夫だと思うけど…」
「駄目だ」
「俺が送ってく。お前と帰り道ほとんど変わんなかっただろ、確か」
間髪入れずに流川くんが否定し、三井くんが送っていくと言ってきてくれた。
「む、なら俺も」
「お前確か真逆だろ」
「え、そうなの?ならいいよ!大丈夫、三井くんが一緒に来てくれるみたいだし、これから私の家に行ってから自転車でかえるの時間かかると思うよ」
「そんなん平気だ」
「ダメです!マネージャー命令!」
送っていくといってくれるのは嬉しい。でもそれで帰りが遅くなって後輩に何かあったりしたら絶対だめだ。
私はビシっと指をさしてマネージャーとして命令した。
「…わかった」
「よし!」
「三井さんに襲われないように」
「誰が襲うか!」
雪さんをよろしく、と三井くんに言うと自転車に乗って颯爽と帰っていく流川くんの後ろ姿を見送る。
「さて、帰るぞ」
「うん」
三井くんの横に並んで歩く。夏だから、夜といってもそこまで暗くないけどポツポツと街頭がついてる。
こうやって一緒に帰るのはいつぶりだろう。1年のころ、たまに一緒に帰ったことがある。思い出すと頬が緩む。
「おい、」
「ん?」
「流川と付き合ってんのか?」
「はい?」
無言だったのに突然三井くんは流川くんと付き合ってるなんて言い出した。私は首を横に振って否定する。
「そんなわけないじゃない」
「じゃあなんであんなことしてきたんだよ」
三井くんが言ってるのはパフェを流川くんが私の手から食べたことだろう。
「し、しらないよ、無意識じゃないの?私じゃなくてもするんじゃない?」
「ふーん」
さっきのことを思い出すとまた頬が熱くなってしまう。流川くんは考えなしにしてきたみだいだし、私でなくてもしてたかもだし。
それでも三井くんは納得していないように見える。