第9章 少女の記憶「鬼」
少女は私の後ろに隠れて
顔だけヒョコッと出すと、
「……うん」
そう言って小さく頷いた。
さすがに巨大な閻魔は
怖かったのだろうか。
自分を見た時とえらい違いだな、
と思うとマセガキも
何だか可愛く見える。
「別嬪さんだねえ。何か……少し
鬼灯君に似てる気がして怖いけど」
などと大王が言葉を掛けているが、
私と少女は
耳打ちで内緒話をするのに
夢中で聞いちゃいなかった。
「(デカいおじさんに今度
ドングリをあげてごらん。
きっと、すごく喜びますよ)」
「(うん分かった)」
「君達ね……それ全部
聞こえてるんだからね」