第8章 【沈丁花讃歌】
「俺!ここのすぐ隣にある
衆合地獄で働いてるんスよ!」
「俺!仕事帰りに貴女を見る度
綺麗だなって思ってて……!!」
「俺!紗英さんが好きっス!」
男鬼のオレオレ口撃は
止むことがなかった。
紗英が何も答えなくとも、
若い獄卒は勝手に喋り続ける。
しかも──
徐々に間合いが詰まっていた。
一言放つたびに、
興奮した男鬼はその身体を
紗英に近付けてくるのだ。
「あっ……あの……っ!
この店は本番OKなんスよね!?」
来た。
我欲が爆発した男鬼は
ついに理性をかなぐり捨て、
紗英に覆い被さる。
「い……っ嫌、やめて!」