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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第5章 【ジレンマ】


ついに花街から出てしまった
鬼灯様と私は、
彼岸花が生い茂る野道を
二人きりで歩いていた。

「あの、紗英さん」

彼方に見える針山が
地獄の炎に照らされて
煌めいている。

「……はい」

華やいだ街の灯りは
もう随分遠ざかってしまった。

暗い野道に、
鬼灯様の声が響く。

「……白澤(アイツ)の
どこがいいんですか」

答えられなかった。
答えたくなかった。

喉に引っかかった
言葉の代わりに、涙が一粒。

はらりと流れ落ちた。
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