第5章 【ジレンマ】
「……全く腑抜けジジイが」
地獄のトップを務める
閻魔様をこれでもかと
足蹴にして鬼灯様は言う。
その姿はまさに鬼。
絶対敵にしたくないタイプだと、
以前向かいの番頭が言っていた。
激しく同感だ。激しく。
「まあ……私も芸妓は
嫌いではないんですが」
ゴッ
「ふげえっ」
「大王(ジジイ)のお守りは
御免蒙りたいんですよね」
グシャッ
「ぐぼあっ!」
鬼灯様の容赦ない足技と
蔑みのコンボに閻魔様は、
「我が……生涯に
(悔いがあるとすれば)
鬼灯有り……っ!」
そんな台詞を遺して
ついに白目を向いた。