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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第20章 密やかな幕引きを貴方と


所変わって、一方の鬼灯は
閻魔殿にある政務室で
煙管を吹かしていた。

彼の机には一枚の書類。

酸漿をあしらった認め印が
押されたそれには、紗英の
名前が鬼灯の字で書かれている。

「鬼灯様……!たった今
エジプトからアヌビス神が
謝罪に参られました!」

「……そうですか。では
御通ししてあげて下さい。
私も、すぐに行きますから」

彼は部下の報告に
振り向くことはせず

普段通りの声音で
そう告げると、

カンッ カンッ

灰受けに煙管を
打ち付けて
立ち上がった。

「やれやれ……やっと、
私の嫁に出来ると
思ったのに………」

その声がほんの少し
震えていたのは──……

鬼灯だけの秘密である。





【二十ノ章】
密やかな幕引きを貴方と___終
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