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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第20章 密やかな幕引きを貴方と


少しずつ
少しずつ

紗英の身体が
橙色の光に包まれていく。

「……っ……紗英」

白澤は涙で霞む視界に

幾度もその手で愛した
紗英の姿を収めて、

最期の言葉を贈った。

「僕、待ってるから……!
たとえ君が僕を忘れようが
何処に生まれ変わろうが。
僕は……何度だって君を、
………愛してるよ。紗英」

紗英はまるで白澤の言葉が
終わるのを待っていたかの様に、
彼の愛を聞き終えると
眩い光の中に溶けていった。

声を上げて泣く白澤に
そして、声を殺して泣く檎に
地蔵菩薩がやんわりと告げる。

「無事に転生出来ましたよ」

こうして紗英は地獄を去った。
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