第20章 密やかな幕引きを貴方と
徐々に薄れ行く
紗英の身体に、白澤は
縋り付くようにして
泣きじゃくった。
「僕のせいだ……全部、全部!」
熱い涙の雫が幾度となく
冷たい紗英の手を濡らす。
「……やっと、君を……っ
愛してるって……!僕には、
君しか居ないんだよ……!」
辿々しい言葉で叫び続ける
白澤の目元は、化粧が溶けて
真っ赤に染まっていた。
それはまるで血の涙。
彼の心が流す血液は
止めどなく、延々と流れては
虚しく地獄の闇に消えていく。
「白澤の兄さんっ……!」
檎が地蔵菩薩を連れて
戻って来た時、紗英は
その身体の殆どが薄れ、
消えかかっている状態だった。