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(R18) 雑草ノ花 (壱) ─鬼灯の冷徹─

第20章 密やかな幕引きを貴方と


地獄の底を駆けずり
回っているのは
鬼灯だけではなかった。

紗英の勤める店の
ポン引き狐、檎もまた

鬼灯の命により
とある人物の許に
馳せ参じる。


「お地蔵様っ……!」


彼が息も絶え絶えに
地蔵菩薩を訪ねる頃、

遊女専用寮には
白澤の悲痛な声が
響き渡っていた。

「紗英ちゃん……!
お願いだよ……っ
……目を、開けて」

涙で顔をくしゃくしゃに
歪める白澤は、紗英の
手を強く握り締めている。

しかし、彼女がそれに
応えることはない。
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