第19章 ワカレノウタ
「白、澤……様?」
僕は気付いてしまった。
かつての「団栗少女」を
想い慕う自分の気持ちが
他の女の子へ向けた
それとは明らかに
違うってことを。
彼女を酷く傷付けて、
その泣き顔が頭から
どうしても離れなくて。
それで漸く本当の気持ちに
気付いたんだけど──……
「紗英ちゃん……と
おまけの一本角野郎」
あれから妓楼に
何度も足を運び続けて
来る日も、来る日も
君を待った。
でも、やっと会えた時には
もう全てが手遅れだったんだ。
「どうして……貴方が
遊女専用寮(ここ)に?」
「大方、夜這いでも
しに来たんでしょう」